狐尾幻想樹海紀行EX その4

ジェネッタのジェネッタによるジェネッタ得の話が始まる(


今回は導入と言うことで色々話盛りました。いつものことですな。
ある意味偉大なるマンネリであった三竜いなくなったというのは「あれ、これ世界樹…?」みたいな感覚もあったんですが…その辺も詳しいことは後編で。
ちなみに展開は盛りましたがジェネッタのセリフは単純にコイツ最高にアホ!!!wwwって感じなので大体そのまま引用しました。まあ、そうなるな(財団中国支部風


君はこの先を読み進めてもいいし、あのね案件だと判断して前のめりにつっこんでいっても構わない(














~魔女の黄昏亭~


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「そう。
良かったわ、あなたたちも巧くいったみたいで」

その日、紗苗の元を訪ねてきたのは、彼女も見覚えのあるふたりと…女性の抱く一人の赤ん坊だった。
顔立ちにはその片方、ルナリアの青年の面影があるが、特徴的な長い獣耳はセリアン族の特徴。

ルナリアの青年…サディアスは、穏やかな笑顔で言葉を返す。

「…あの時は気を失っていて、お見苦しい姿を見せてしまいました。
義父さんからはまだまだ未熟と言われていますが、一家の大黒柱として、この子が誇りに思えるような父親になれるよう精進したいと思います。
ミアとの結婚の件も勿論…私自身がさらなる自分の高みを見いだすきっかけを作ってくれたあなたには、感謝してもしきれません」

端正だが線の細かったその容貌は、当時に比べて随分逞しくなったように見えた。
種族として非力であることは仕方ないとしても、それでも、剣士として相当厳しい修練を積んだことが窺える、落ち着いた佇まいの中に達人特有の独特の雰囲気を感じられる彼の姿に、紗苗も笑みを隠せずにいる。
一歩引いた位置にいたその伴侶…セリアン族のミアも、はにかんだ表情で続ける。

「あの日のことは…今でも忘れられません。
私も…今まであんなに、お父さんに逆らったことはなかったんです。
でも、自分があんなに必死になれたのも…きっと、私が本気で彼のことを愛してるって、その自信を後押ししてくれた人がいたからだって

「そうじゃないわ、ミア。
あなたも…サディアスも、真剣にお互いのことを思い合っていたからこそ、私だって協力する気になったんだから。
ふふっ…あなたたち二人にそっくりね。名前、なんて言うの?」

それが…と、バツが悪そうにふたりは顔を見合わせると…やがてミアが、意を決したように告げる。

この子、女の子だから…「サナエ」って…あなたの名前を、いただいたんです。
お父さんも、あなたの名前を…自分も認めた武人の名前ならと、喜んでくれて」
「え、ええっ!? あたしぃ!?」

流石に思いも寄らないことだったのか、飲んでいた酒を吹き出しかけて素っ頓狂な声を上げる紗苗。
その様子がおかしかったと見えて、はにかみ笑顔のままミアは続ける。

「ええ。
あなたがまたこの街に来られたと聞いて、そのことも併せて報告したくて…居ても立ってもいられなくなって」
「ちょ、ちょ、何もあたしの名前でなくても小町さんとか華扇さんとかでも」
「べーっつにいいじゃねえかさな姉、減るもんじゃなし。
きっと元気な娘さんに育つだろうなあ。時代を代表するような剣豪になる末が見える

酔いで仄かに染めていた程度の顔を真っ赤に染めて、かごめに飛びかかる紗苗。
からかうようにけたけた笑いながら、瘴気兵装全開で脱兎の如く駆け去るかごめを追って店を飛び出す紗苗の姿に、サディアス夫妻やメリーナはもとより、成り行きを見守っていたギャラリーも皆笑い…この日も、笑顔の中で夜が更けていく。





「うう…きもちわるっ…覚えてなさいよかごめちゃん…!」
「あれだけ飲んで全力疾走すれば当たり前よ、まったく。
けれども、良かったわねあのふたりも。
私たち、というか…あなたのお節介がちゃんと実を結んだみたいで何よりだわ」

蒼い顔で机に突っ伏す紗苗に、呆れたように笑いながら紫が水を差し出す。
それをひったくるように受け取って一息に飲み干すと、頭を振りながら紗苗はゆっくり首をもたげる。

「あーもう、ジェネッタのアホがなんかほざいてるみたいだけど、今そんな話されたら本気で吐きそうだわ。
ぜぇったい、今宿に帰ったらその話するよねあの子。今日もうそんなのつきあえないわよマジで」
「解ってる解ってる、とりあえず直接境界を部屋に繋ぐから。
その代わり、一度聞いた「依頼」なんだから、明日起きたらきちんと聞かなきゃダメよ、サナ?」
うー…ゆかりんはいじわるですねー

溜息を吐き、紫とメリーナは顔を見合わせて苦笑する。



-狐尾幻想樹海紀行エクシーズ-
その4 「ジェネッタ、友達をつくるの巻」



~翌日 ジェネッタの宿~


紗苗「はあ? 友達ですって?
ジェネッタ「そーなんですよ紗苗さん!
     お恥ずかしながらこのジェネッタ、未だに同年代の友達という者が一人もいないのです。ぐすん><」
リグル「へえ…なんだか意外ですね。
   ジェネッタさん何処に行っても結構街の皆さんと親しげに話してるように見えるんですけど」
ジェネッタ「いやあ…一応お仕事の関係ですので…。
     何しろこの街に来る前も、ウチは姉妹で経営していた宿の仕事に追われて、友達と遊んだ、って思い出がないんですよお。
     だからあ、今回は皆さんにウチの友達作りをお手伝いしてもらおーかと!」
リグル「いや、そうは言いますが…」
紗苗「友達なんてそうそう簡単にできるようなモノじゃないと思うんだけど。
  それに、この街ってむしろ街本来の住人より、流れの冒険者のほうが多い気すらするし」
ジェネッタ「うぐっ言われてみれば…。
     うう…やっぱりウチが友達作りなんて及ばぬ鯉の滝登りなんでしょうか…やっぱダメだ…(天井から意味深に釣られたロープに手をかける
リグル「∑( ̄□ ̄;)えちょ一体いつの間にそんなの作ったんですかマジでもう!!」
紫「あーもう…けど、依頼として受けた以上はなんとかしなきゃだわ。
 でもどうしたもんかしらね」
紗苗「そんなのあたしに聞かれても…っていうか、メリーナはこの依頼の内容については詳しく知らないって言ってたわね、確か。
  こういうときは酒場よ、酒場。
  ほらそこのジェネッタ何時まで茶番やってんのよ、少しぐらい店開けれるでしょ酒場行くわよ」


~少女移動中 魔女の黄昏亭~


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ジェネッタ「おおう…人がいっぱい…!
     ククク…どいつもこいつもウチと友達になりたそうなツラしてやがるぜェ…!(じゅるり
リグル「一体何なんですかそのキャラ(呆」

メリーナ「成程ねえ。
    確かに、意外とそういう系統の話は聞いたことないわね。
    この子のお姉さんは方々歩き回ってるせいか、色々顔も広いんだけどねえ」
紗苗「メリーナじゃダメなのかしらね、同じ街の商売人って共通項もあるんだしさ」
メリーナ「う、うーん私がもうちょっと若ければ…ねえ(露骨に目を背ける」
かごめ「どう見てもそれが答えになってんじゃねえか女将、いや気持ちはわかるあたしもパスだなぶっちゃけ(露骨に目を背ける」
紗苗「なによかごめちゃんどこからわいて出てきたのよ。
  っていうか、ちゃんと例の子連れてきてるんでしょうね?」
かごめ「あーはいはい解ってるって橙もちゃんと動員してきたし。あの馬鹿九尾はしばらく井戸で頭冷やしてるといい(キリッ」
紗苗「橙はいるけどもう一人いないじゃない」
かごめ「その辺の影に潜んでるよ。
   相変わらずライブの時以外とまり花がいないときの人混みでは状態異常「顔面ゆでゆでだこさん」が解除できねえから」
紗苗「ったくもー。
  しょうがないわね、この際ボウケンシャーでもそれっぽい話ないもんかしら。
  …ねえそこのおじさま、最近来た冒険者とかそれ系でジェネッタと同年代ぐらいの子知らない? あたしたち以外で
かごめ「ああそこはちゃんと避けるんだなさすがさな姉(キリッ

冒険者「なんだ姉ちゃ…って、あんた達もしかして「狐尾」の!?
   っていうか、ジェネッタってあの有名な宿のか!?」

かごめ「ああまあ、そこでニヤニヤしながら周囲を物色してるあれだよ。
   どうだいあんた? ああそこであたし達を指さすとかいう冗談ほざいたらその首と胴をマジで泣き別れさせっから(にこっ」
冒険者「∑( ̄□ ̄;)ええ!?
   えー…いや悪いが流石にそんな話突然に言われても…いや、待てよ」
紗苗「(がばっ)何か心当たりあるの!?」
冒険者「(えっなんでこんな食いつきいいんだ…何かあるのかあのジェネッタって子…?)
   あー、うん、俺っちもウワサでしか聞いてないんだが…鎮守ノ樹海の中層部、何年か前にあんた達が解放した区画の奥で、どう見てもこの近辺の住人ではないらしい女の子が目撃されててな。
   そうだな、見た目ジェネッタぐらいの年頃だって言うぜ。
   ただなあ…その近辺ではキナ臭い話も聞くんで」
かごめ「…どういうこった?」
冒険者「あくまでウワサなんだがな…だが事実、そのあたりを探索していたあるギルドが去年、消息を絶ったんだよ。
   そのギルド、狐尾(あんたたち)が到達して以来、他に誰もたどり着けなかった世界樹の頂上に最も近いと言われたほどの達人揃いのギルドだったんだが…そうだな、その娘が目撃されるようになってじきだぜ。
   そもそも月に数回、初心者熟練者問わず冒険者が消息を絶ってるってのはあったんだが…そんなこんなもあって、評議会もどうも、狐尾(あんたたち)が戻ってくることを心待ちにしてたみたいでな。
   その案件を極秘ミッションとして、あんたらに押しつけようとしてるなんてウワサも聞いてるぜ」

かごめはそれとなくメリーナに視線を送る…すると、メリーナも何かしらの事情を知っているのだろう、神妙な顔つきで頷いた。

かごめ「…とすると、この件にジェネッタを関わらせるのは流石に危険くさくは」
ジェネッタ「ほうほうウチもよく潜っている鎮守樹海の中層に女の子が…っと。
     やっぱり困ったときは酒場の情報収集ですね!
     ウチはさっそくおねいちゃんに店番押しつけてきますね!!大丈夫ですウチも樹海を歩けるように色々鍛えてきたので無問題ですのでー!!><

【システムウインドウ】 ジェネッタさんがパーティから離脱しました?

かごめ「…おいどうする、さな姉」
紗苗「どうするもこうするもないわよね。
  いいわ、あのアホジェネッタの面倒はあたしが見る。
  …かごめちゃんは万が一のことを考えて評議会に話をして頂戴。そして、あたし達のチームが一日経って戻らなかったら、正式にミッション出して貰って」
かごめ「成程、あたしもコイツがなんとなくヤバい案件じゃねえかってのは同意だよ。
   できりゃあこういうカンは外れて欲しいんだがなあ…ということだ凜、橙。
   さな姉と紫がいるなら最悪の事態は避けられるだろうが」
紫「いざとなれば全力で逃げを打つわ。
 その代わり…狩れる相手なら私たちが貰うけどね…!」
かごめ「一応、あたしのほうでレムス坊やにこの話の裏、聞いとくよ。
   いずれに転ぶにせよ、あたしが出張る頃にはいろんな意味で手遅れになってそうな気もすっけど








てゐ「いつもニコニコ現金払い、どうも因幡のてゐです」
諏訪子「なんだそのアイサツは。
   っていうか、あの軒先の井戸に突き刺さってる駄狐一体なにしでかしたんだ?」

藍「(へんじがない…ただのモニュメントと化しているようだ)」

てゐ「その後かごめが橙抱えてったからまあ…そういうことなんじゃないか?(露骨に目を逸らす
  てなわけで、今回は前後編でクエスト「ジェネッタ、友達を作るの巻」だよ。
  クエストタイトルから見れば「まただよ(呆」みたいな感じもひしひしとするんだが
諏訪子「ああ、確かに最後でフリードリッヒさんが「ニャーン」って鳴いて終わりそうなそんな気すらもするよな(露骨に目を逸らす」
てゐ「基本的にジェネッタ絡みとなればそういうオチしか見えないだろうなって感じもするわけであるが…。
  あ、そうそうサディアスとミアの話だけど、本編では結局まだ結婚は出来てないよ。
  サディアスはミア父とワンツーマンで修行中らしい
諏訪子「一応ルナリアでもハウンドが出来ないわけでもねえっていうか、ハウンドはそれほど相性悪くねえんだが…マスラオとかどうなの?」
てゐ「ブラニーほどじゃないけどSTR低いわ何よりも致命的に足が遅いわでお察しの有様だねえ。
  それはさておき、今回は前回も触れたように、実質は三竜相当案件だよ。
  もう初っぱなからぶっちゃけていくけど、今回は三竜に相当するクエボスが追加され、なんと三竜がリストラされてるんだ」
諏訪子「ある意味世界樹クリア後の顔とも言える三竜がリストラとか、今回本当にありとあらゆる意味で世界樹っぽくないんだな。
   カマキリは後に触れるだろうけど、定番の毒吹きアゲハさんも角鹿さんもカボチャ共も不在とか。
   どいつもこいつも逆にファンタジー世界向けの面々なのにな。その代わり何故かイノシシがきのこってるんだが」
てゐ「これまでの世界樹らしいところはまあ…いちいちトンチンカンな毒ダメぐらいなもんかな?」
諏訪子「うんまあそれは毎度の如く笑えないな(しろめ
   というわけでこのクエストの概要は…まあ茶番が全てを物語ってる通りか」
てゐ「しつこいようだけど「どいつもこいつもウチと(ry」は原文ママですんで(キリッ
  あの性格は極端に友達だらけか完全ぼっちの両極端になってる印象もあるけど、ジェネッタ見事に後者だったね。さもアリナミン」
諏訪子「前者の例はめうめうかね?」
てゐ「いや「親衛隊」の存在を考え合わせても後者だろあれ。
  そもそもあいつは元々ネクラな性格で、日向に改造()されてああなったって公式設定あるし。
  むしろ基本トンチキな性格で交友関係だだっ広い好例はまり花じゃないのかな」
諏訪子「あー、確かに。
   というか話脱線させまくりだな既に」
てゐ「普段話脱線させるやつが居ないからね、仕方ないね♂」
諏訪子「オメエがズレさせてんだろオメエが。
   で、とりあえず黄昏亭でたむろしている冒険者から、3Fの封印扉奥になんか女の子めいた実体がうろついているという話が出てくる、と」
てゐ「明らかに【編集済】が多数発生してるっぽい案件をよく引き合いに出してきたな、っていう。
  あとメリーナはマジで何歳なのかと
諏訪子「そここそ【データ削除済】なんじゃないのか…?」








~評議会 レムスの居室~


「早速君達の耳にも入ったか。
まあ…我々評議会としても、正直どう扱って良いのか解らない案件ではあったんだ。
そもそも、事件記録にあるエリアは、達人級のギルドでも立ち入りを制限する必要があるほど、強力な魔物が生息していることが明らかになっているからね
「マッドドッグの亜種か。
元々マッドドッグの魔力を込めた眼光は、軽い認識災害を引き起こして、かすり傷を負っただけでも肉体が致命傷と認識しちまうワケだが…」

かごめの言葉に「その通りだ」と頷くレムス。

「かの魔物…我々が「ビクトリードッグ」と呼称している種も、同系統と見られる呪詛的な凝視を使用すると報告されている。
マッドドッグの邪視は、少なくともゴーレム結界を解除できる程度に熟練した冒険者であれば、自然解除されるのを待っても然程大きな影響を受けることはないが…ビクトリードッグのものは達人クラスの者でも早急な解除を必要とするほど、強力な呪詛。
故にかのギルドも、それの対応を怠った故の末路…そう判断されても致し方がない、はずだったんだ」
「要するに、他に下手人がいると?」
「明言は出来ない。
しかし…君も知っているだろう、「死を遠ざける死神」ソロルを。
彼女がその調査に赴いた際…明らかにギガントローパーとは異なる、巨大な花と蔓を有する魔物を目撃した、と報告してきたんだ
「ギガントローパーにも上位亜種が存在する可能性がある…ということ?」
「彼女は折しも立籠めてきた霧の中でそれを見失い、それ以前にその巨大植物めいた魔物に得体の知れぬ恐怖を感じ、追跡を断念したらしい。
彼女の提案もあり、はっきりとした詳細がわかるまで極秘調査を行い、これに類するウワサにも箝口令を敷くことで様子を見ているのだが」

かごめは溜息を吐く。

「酒場でウワサになってる、ということは、まあそういうことで」
「人の口に完全な施錠はできない、ということなんだろうね。
そして悪いことに…それと思しき伝承も先日見つかってしまった」

レムスは、一冊の書物を差し出してきた。
付箋のあるページを吟味したかごめが、わずかに眉を顰める。

樹竜…ドリアード…?
「鎮守の森に大昔から住まう、森の凶精といわれる魔物だそうだ。
その蔓は竜の翼とも、強靱なるその尾や双腕にも形容される。
強靱な蔓の一撃に加え、強力な雷を呼ぶ魔力を持つともされる…「暴王」も手を出しかね、それを追った者達も活動エリア全体を魔力結界で封印したという。
君達が晶洞の奥地から密かに持ち帰った鍵も、その封印が破られぬよう未踏の地に隠されたと見るのが妥当だろう」
「ふーん…だったら晶洞への道がルナリアの結界に酷似した結界に護られてたのも、合点がいくな。
さな姉が、晶洞のことをメリーナが昔から知ってたんじゃないかとかいってたが…さて」
「彼女も何気にナゾが多い人物ではあるからね。
それはさておいて、ドリアードの本来の姿は元々、ひとりのルナリア族の少女だとも記載されているんだ。
ただ…これはあくまで伝承に過ぎず、ドリアードの実在まで証明されてはいない。
とはいっても」
ここ数年に起きた一連の冒険者失踪事件がドリアードの仕業であり、ソロルが目撃したのもドリアードである可能性は否定できない…と。
おいおい…まさかさな姉とんでもねえ案件に首つっこんじまったんじゃなかろうな…!」

かごめはそのとき、引きつった笑みの中にはっきりと焦燥の表情を見せる。
揺籃鎌を取り急ぎ背負い、去り際にレムスが「何かの役に立つかも知れない」と宛がわれた、件の書物を手に…彼女は評議会を飛び出していく。





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一方その頃。
楽しそうに樹海をゆくジェネッタと共に、うんざりしたような表情の紗苗、それを宥めるリグルと橙が続き…終始困ったような笑顔の紫が式神を傍らに殿を進む。

「ったく…相変わらず丸腰で樹海に入り込もうとしやがってこのアンポン娘は…!」
「ま、まあまあ…華扇さんが残してくれてた弓もあったから」

そんな紗苗の呪詛めいた言葉も耳に入っているのかいないのか、ジェネッタは脳天気に振り返って、緊張感皆無の様子で話しかけてくる。

「そーいえば、こうやってサナさんたちと樹海に来るのは二度目でしたよねー」
「えーそうね。
そういえばあの時の本来の報酬分に当たる分量のハニートースト、一体いつになったら食べさせてくれるのかしら
∑( ̄□ ̄;)はうっ!!
いい、いやウチは全ッ然悪くないんですあのハニートーストがおいしすぎるのが諸悪の根源で」
「サナさん何時までその話続けるんですか…別にハニートーストが目的なら私の能力で」

リグルがそこまで言いかけたところで、余計なことをぬかすな、といわんばかりの紗苗の視線が向けられ、彼女は口を噤まされた。
そして再びジェネッタに向き直ると、

いいからこれ終わったら問答無用に作ってあたしに真っ先に食べさせなさい。
ああ、摘まみ食いで完食されないようにあたしもあんたの後ろに立ってるからね!解ったわねこのトンチンカン!」
「お、おういえぼす^^;」

わけもわからぬといわんばかりに目をぱちくりしていたリグルだったが、紫に小突かれてどうやら紗苗の言葉の趣旨を理解したらしく、苦笑しながら溜息を吐く。
そのとき、リグルは何かに気づいたように周囲を見回す。

「そういえば…私たち四人しかいませんよね。
ジェネッタさんを入れて五人ではあるけど…それを見越してですか?」
「…いいえ、あくまでジェネッタはゲストに過ぎない。
フルメンバーで五人いるわよ」
「そーいえば街を出るときから、影から影に飛び移るようにしてついてきてる子がいるような

橙が、その人物がいるだろうあたりを振り返る。
リグルもそれを目で追うと、ようやく彼女にも…一層不自然に影が濃くなっている区画に、何者かの気配を感じる事が出来た。

「彼女はかなりシャイだからね。
大丈夫よ、戦闘になればちゃんと力を貸してくれるわ」

苦笑する紫の言葉に、はあ、と生返事を返すばかりのふたり。


やがて一行は、件の冒険者から教えられた区画…その、謎の少女の目撃例が多い地点にたどり着く。


そこには、巨木にも、不自然に多くの蔦が絡まったようにも見える、正体不明の植物の塊が見えた。
この森に多く生息するローパー、もしくはその巨大種にも思えるそれだが、よくよく目をこらせばその中に人影らしき姿が見える。

その、少女のようにも思える人物は、不運なる冒険者がローパーの類の犠牲となったものであろうか。
この樹海においては日常茶飯事のこと、さして驚くことではない。
木々の匂いに微かに混じる、染みついた血の臭いもさして珍しいものではないが…それでも、リグルは何か違和感のようなものを感じていた。


あの中心の少女は、既に死んでいるのであろうか?
その割には、何かがおかしい。
何よりも…血の臭いがあまりに新しく…なおかつ、その植物塊からではなく、その周辺から漂っている…。


「あるぇー?
なんなんでしょうあれ…」

相変わらず緊張感のない様子で、ジェネッタがその植物塊を見ながら小首を傾げる。

いち早くそれに気づいたのは紗苗。
そして、紫もそれに気づき、ノータイムで複数体の式神を召喚する。
だが、紗苗が制止の声を上げる前に、ジェネッタは無警戒にその正体を確かめようとぱたぱた駆け寄っていく…。


植物塊が、その瞬間…エモノを狙い定める禍々しい邪竜の顎の如く、裂ける…!


「りんちゃん!!」

ジェネッタを止めるのが遅いと瞬時に判断した紗苗が叫ぶと同時に、植物塊の死角から高速で走る影。
そこから飛び出した少女…凜が、ジェネッタの体を抱えるようにして横っ飛びに跳ぶと、寸前までジェネッタがいたあたりに、巨大な蔓の塊が叩き付けられた!

突然の出来事にあっけにとられるジェネッタ。
そして…凄まじい闘気を全開にする紗苗たちの姿と、正体を現した…竜の尾の如き茨の蔓と、その先でその顎を思わせる禍々しくも巨大な花を咲かせる、邪笑を浮かべる少女めいた姿の魔物を交互に見やり…そして、魔物の周囲の光景を見て、絶句する。


そこには…既に白骨化した者、未だに腐敗しながらわずかに原形をとどめている者と様々な…冒険者だったであろう者達の亡骸。


「…ただの樹精ではなさそうね。
妖気だけなら…幽香や葉菜と比べても十分遜色のないレベルよ」

強力な前鬼・後鬼を顕現させた紫が、険しい表情で言うのを、振り向くことなく紗苗が頷いて同意を示す。

「成程。
かごめちゃん達が方々でやり合った三竜…それに相当するレベルの魔物って言うことでいいのかしら
「そう考えて差し支えないわ。
リグル、橙、決して手も気も抜いてはダメよ…!」

ふたりの応答を待つことなく、ジェネッタを庇い立つ凜へ視線を送ると、彼女は応答する代わりに静かに闇を纏う。
あっけにとられていたジェネッタは…次の瞬間、普段のぽやんとした表情からは想像できないほど、真っ赤に頬を染め、怒りを露わにして叫ぶ。


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「これはどういうことですかッ!!
どうしてあなた、こんな酷いことを!
せっかく…せっかく友達になれると思ったのに…こんなことしちゃいけないって、教わらなかったんですか!!!」



思っても見ないジェネッタの反応に、今度は紗苗たちが呆気にとられる番だった。
しかし…その言葉の意味も理解しているのかいないのか、その様子がただ可笑しいのかクスクス笑うその魔物に対して、ジェネッタの怒声がさらに飛ぶ。

「もう怒りましたよ!!
ウチが、あなたに人の道って奴を、きっちり教えてあげます!!」

その言葉と共に、彼女は華扇の剛力をもってすら引くのに苦労したというその剛弓を軽々引き絞り、無拍子で解き放つ。
放たれた矢は、魔物の右肩から伸びる強靱な蔓の一本をいとも容易く粉砕し…そして、一拍遅れて自分がなにをされたか理解した魔物が、甲高い怒りの金切り声を上げて縦横無尽に蔓尾撃を繰り出して向かってくる…!!

紗苗はうんざりしたように大きく頭を数度振り、そして。

「行くわよ、みんな!
あのバカ娘に先行させて、殺させたらあとが酷いわよッ!!」

幾度も振るってきた魔剣の刃を振りかざす紗苗。
そこへ橙、凜が拳甲と大鎌の白刃を閃かせ続き…凶猛なる森の魔と少女達の死闘が幕を上げる…!








てゐ「今回は導入編なのでここまでだね」
諏訪子「ドリアード?アルルーナじゃねえの?みたいなのもよく聞いたネタだよなあ。
   しかし随分引っ張ったな、茶番で」
てゐ「意外にジェネッタの啖呵が捨てるところなくてなあ。
  まあそういうわけで、いろいろな裏話やらドリアードの解説やらは次で」
諏訪子「んだな、無駄に引っ張って紙面引っ張っても仕方ないからな。
   我々はかしこいので(キリッ
てゐ「次回に続くのです。
  我々はかしこいので(キリッ

この記事へのコメント

ATI
2017年10月12日 20:03
ジェネッタさんがジェネッタさん過ぎて
世界樹日記打ち切るのはジェネッタイベント終わらせてからにすべきだったと後悔するレベル。
まあこっそり再開しても良いっちゃ良いのですが……
キャラクターとか忘れておかしくなりそうだしなぁw

しかし「どいつもこいつもウチと友達になりたそうなツラしてやがるぜェ」とか耐えられるわけないだろ、いい加減にしろw
クラゲカンリニン
2017年10月12日 21:22
近日続きを書きますが、ドリアード撃破直後の展開でさらに腹筋に追加ダメージを入れてきやがりますのでコヤツ…^^;
ジェネッタは哲学、はっきりわかんだね(しろめ

ポケモン発売も近いですが、体感今回のクエボスが全体的に緩いというか、そもそもスキルが強力なのでわりとサクサク進められる印象でもあるので…縛りプレイを今から始めてもいいのよ?(チラッチラッ

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