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zoom RSS 狐尾樹海鉄 その20

<<   作成日時 : 2016/11/11 21:21   >>

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久しぶりの世界樹ログですが総茶番回です()

サディアスとミアは冒険の初期からちょくちょく登場しているNPCですが、意外と周りで取り上げられてなかったのであえてメインで拾ってみることにしました。
あと何人か離脱するみたいな話になってますが、実際六層以降はSSQ2の裏ボスラッシュがウソみたいにやることがほとんどないみたいなんですよね。DLCも結局経験値とおカネのクエストしかないようなもんだったし。そのせいでヒマを持て余したボウケンシャーは星喰をサンドバッグにするばかりで

ポケモンは恐らくメインで触れないと思われますので、ポケモンを進める傍らでゆっくりと裏ボスに挑みながらログを進めていく予定です。
まあ、そもそもこのログもスタートそのもの遅かったですしね。幼子倒してようやくアルカディアだーと思ってたらもうほとんどみんな表終わらせたりしてますしね。仕方ないね♂


君は愛しあう二人の結末が知りたいと先を読み進めてもいいし、リア充爆発しろと引き返しても構わない。















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♪BGM 「情景 冷たい正義」♪


神子達居合わせた全員の名をその胸に刻み、アルコンと名乗ったその存在は再度深く嘆息し、そして厳かに口を開く。

「星海を越えし者、「狐尾」の者たちよ。
私、アルコンは古より、この地に辿りつく者を待っていた。
それは、古よりある目的の為だ」
「目的…ですか」

アルコンは頷く。

「この地に住まう知恵ある四種族…「大地の仔」アースラン、「魔道の徒」ルナリア、「猛き武人の裔」セリアン、「草原の祈りの民」ブラニー。
それぞれの種に伝わる世界樹の伝説は、全て、この地にその謎を解き明かす者を導くためにあった。
導きに応じた者がこの世界樹の頂点に辿りついたその時…私の役目は終わるのだ」

そして彼女は、その円環状のフロアのはるか上空を見上げる。

「この「円環ノ原生林」、その頂点こそがこの世界樹の頂。
しかし、いまだこの大地に住まう「人類」触れたことのないその最上階には、「人類」が乗り越えねばならぬモノがある」
「…察するに何か、それが「この世界(アルカディア)」の存亡にかかわるレベルの災厄…そういうシロモノなんだな」

かごめの言葉に、既に何かを予感していたらしい他の面々も、神妙な顔つきでアルコンを見やる。
アルコンは視線を一度彼女らの方へ戻ると、目を伏せて嘆息し…「そう言っても差支えない」と、かごめの言葉を肯定して言葉を続ける。

「かつて、この星は滅びの星だった。
水が尽き、空気は減り、あらゆる命が絶えようとしていた。
その滅びの化身が大地にあった。
それは…この世界で生まれた原初の闇…死をその身に纏う災厄の竜。
私はそれを「幽冥なる原初の主」を呼んでいる


アルコンは再び、原生林のはるか上を見上げる。

「ヒトがヒトとして生まれ…そればかりでなく、ありとあらゆる生命が生まれ育まれるために、その暗黒の化身を退ける必要があった。
その為に、世界樹は生まれた。
アルカディアが実り豊かな地となり、この地の「人類」その他の生命が繁栄したのも、世界樹が死したる大地に豊饒の実りを捧げ、死の闇をその身に封じたからだ
「するとなんだ、私達が旅した世界にあった世界樹も、本来はその為のものだったという事か?
世界樹の生み出すフォレスト・セルとは一体」
世界樹の封じた、「死の闇」そのものが形を成したもの。
その大地の「死のカタチ」に応じ、それは様々な姿をとる。

数多の世界へ散った世界樹の原初たる、この「アルカディア世界樹」に封じられた「死の闇」の一部が、その世界にあった同質のものと結びつき生じたモノだろう」

淡々とその事実を告げるアルコンに、全ての合点がいったというように、かごめは溜息を吐く。

「つまるところは…この先に待ち受けているのは、フォレスト・セルの大元と考えておけばいいのか。
そいつをぶちのめせば万事解決、わかりやすくていいんじゃね?」
「簡単に言ってくれやがる。
封じておけるんだったら、そのまま未来永劫ほったらかしておければいいような気がするんだがなあ」

呆れたように吐き捨てるてゐ。

「私達の知る世界樹のセルは、いつ暴れ出してもおかしくない状態だった。
それに、生と死は等価のモノ。滅びは万物に約束された宿命。
封じられなければならないという事は…この世界樹が封じてきた「死の闇」は、そのバランスを崩壊させる者…そういう認識で、いいのかしらね

紫の指摘に、アルコンは頷く。
振り返るその姿は、ゆっくりと吸い込まれるように、空へと昇り始める。


「だが、それもまた「ヒト」の越えなければならない「宿命」の一つなのだ。
この世界と…そして何より君たち自身の為に…高みを目指し、伝説を追い続けて欲しい。
君達がその「闇」と対峙するその時、再び私は姿を現そう」




「狐尾樹海鉄 〜 道士と騎士の猫の世界樹紀行」
その20 愛は全ての人に



アルコンの姿がその場から消え去ってしばらく、各々の思索に耽るかのように沈黙を守っていた面々は、やがてかごめの提言もあって一度街に戻ってこれからどうするのかを考えるということで落ち着いた。
あまりにも漠然な終着点を示された神子達は勿論のことだが、それぞれの思惑持ってこの地に足を踏み入れた面々にとっても困惑することづくめで…中には、これで樹海探索を一区切りとして元の世界に帰る意思を見せる者もいた。



「あたいもなんだかんだでこっちに長居し過ぎちまって、そろそろ有給の期間も終わりそうなんでね。
名残惜しい気もするけど、まあ十分騒がせてもらったしね」

何処か寂しそうに小町はそう切り出した。

「あなたがそんなことをいなんて意外ですね…まあ、私も少々ついていけなくなってきていたところです。
…そもそも「原初の闇」というのを、態々倒しに行く理由もないし…私達にその役割がないのであれば、これ以上居ても仕方のない気もしてましたしね」

華扇もまた、探索から手を引く意思を固めているようだ。

小町は勿論だが、華扇にとっても未練がないわけではなかった。
命がけになる事も多く、そうでなくとも振り回される事も多かったが、この騒々しい毎日は振り返ればこのメンバーの誰もが生き生きしており、気づけば彼女もまんざらではなかったような気がしていた。

この両者の意思を聞いて、紗苗は少し寂しそうに笑い、答えた。

「仕方ないわ、無理強いはできないもの。
次に何かひと仕事したら、このチームも解散になっちゃうかしらね」
「サナさんは…どうするんですか?」

神妙な表情で問いかけてくるリグルに、早苗はふっと溜息を吐いて応える。

「私はもう少しいるつもりよ。
アンナちゃんの話だと、妖精国の方は至極順調…むしろ私がいると、色々周りが気を使い過ぎてダメだとか言ってたわ。失礼な話よね」
「あなたはどこにいても加減を知らないからよ。
あなたがこっちにいるつもりなら、ストッパーも必要になるだろうしね」

苦笑する紫に、むー、とわざとしかめ面を作って抗議の視線を向けてくる紗苗。


リグルは迷っていた。
このまま、樹海に残り続けることに何か意味があるのか。
そこで自分は何かを見出せるのだろうか…。


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そのセリアンの女性が姿を現したのは、そんな時だった。
大柄で決して美人というわけではなく、「向こうの方が顔は可愛いけど、性格はもう少しこっちに近づいて欲しい」と紗苗のジェネッタに対する愚痴に引き合いに出されるその女性の名は、ミアという。

ミアはサディアンという名のルナリアの青年と、結婚を前提に交際しており、これまでも彼らの依頼を(色恋沙汰には何故か喰いつきのいい紗苗の鶴の一声で)快く引き受け、これまでにも「恋人の永遠の愛を象徴すると言い伝えられる太陽と月の石」を探す依頼、ドレスをあつらえるための低層樹海に住まう毒虫が作る極上の絹糸を採取してくる依頼、そして先にもブーケ作りの為に晦冥ノ墓所にいる悪霊の布を集める依頼にも応じている。
二人の祝言の準備は着々整えられており、もはや何の障害もないと思いこんでいた紗苗にとって、悄然として姿を見せたミアの告げたその事実は、あまりにも想定外…そう、あまりにも今更とも言える話だった。

結婚を目前とした恋人たちに突如立ちはだかったその最大の障害とは…。



「えーっ!!
あそこまでやっといてあんた達、まだご両親にその話してなかったの!?」


紗苗の素っ頓狂な叫び声が黄昏亭に響く。

紗苗ならずとも、叫びたくもなる話だっただろう。
サディアンの両親とミアの母親にはともかく…これまで、仕事で不在だったミアの父親がつい先日帰ってきたのだが、ミアは一抹の不安を感じながらも、初めて父親にサディアンを紹介したのだが…。

「…これだけ準備を整えてさえしまえば、父の反対を押し切れると思って…。
父は極度のルナリア嫌いで…ルナリアごときと話す時間はない、まして結婚など言語道断だと…私の事を解ってくれる人は、今までサディアスしかいなかったのに…!

涙ぐみ、肩を震わせるミアの目の前で、それまでじっと話を聞いていただけの紗苗の拳がわなわなと震える。
その気配を察して華扇と小町が抑えに入ろうとしたその瞬間、紗苗の怒りは爆発した。

何よそれそんな話ってあるの!?
ふざけんじゃないわよ!

サディアスは確かに頼りなく見えるとこもあるけど、あんなに誠実で優しいし、第一物凄いイケメンじゃない!!
言っちゃ悪いけどルックスだけなら絶対不釣り合いだと思ってたぐらいよ!!!><」
「ちょ、おま、最後のは余計だろ!!」

あんまりと言えばあんまりな発言ではあるが、一度火のついた紗苗の怒りは小町の制止程度では収まらない。
それを振り切りグラスの酒を一息で飲み干すと、紗苗は憤然と立ちあがって告げる。

「ミア!
今あんたとこの親父、この街にいるのよね!
私がぶん殴ってでも解らさせてやるわ案内なさい!!」
「んまーちょっと落ちつきなさいってば。
…こういうところはホンっとかごめと一緒だわ。あなたが余計な口を出せば話はこじれる一方よ。
それに、本来こういう系統の話は他人がおいそれ口出しできる話ではない…ミア、あなたも解ってはいるのでしょう?」

紗苗をやんわり宥めながら、紫は僅かに厳しい口調で、涙にくれるセリアンの女性に問いかける。
ミアはしばらく沈黙していたが、それを肯定するかのように小さく頷いた。

「冗談じゃないわ、私は納得できない。
確かにひとこと余計な事を云ったのは悪かったわよ。でも、そんなつまらない偏見で真摯に愛し合う二人を引き離すなんて許せないわ

ミアに負けないぐらい、顔を真っ赤に染めてわなわなと震える紗苗を見かねたのか…立ちあがったのは意外な者だった。

「…なれば、私が話を聞いてきましょう。
今の私はセリアン族の姿を取っている。
ミアさんのお父様も、同族であれば話に応じてくれるかもしれません」
「え…でも」

華扇は困惑するミアの手を取り、微笑んで告げる。


「この地を去る土産として…幸せな二人の姿をこの目に焼きつけておくのも悪くないと、そう思ったのですよ」








文「いつもニコニコ現金払い、どーも清く正しい射命丸です(キリッ
レティ「あれっ随分久しぶりの顔がでてきたわね。
   というか静葉はどうしたのよ、あの不良秋神」
文「ああ…あの紅いのだったら「またハッカー解禁されたからちょっとラクガキストフルコンする作業に行ってくる」とか言って出かけてったわよ。
 その直後にエロサイドテールとスイーツ脳に捕獲されてたようだし、日が落ちるまでは間違いなく帰ってこないんじゃない?」
レティ「またなのあいつ。最近ビーストにはまりだしたと思ったらあっさりと黒チェルノ攻略して神ランク取ってやがったのに。
   …まあいいわ、あのふたりが絡んでる以上行っても泥沼化しそうな予感しかしないし、一舞の言葉を借りれば「触らぬまり花に祟りなし」だわ」
文「あやっ、そっちの方が危険牌なのね^^;
 というかぶっちゃけた話、なんか紫が私を呼んでるという話を小耳に挟んだもんだし、今あいつらの進捗状況どうなってるのか探りに来た意図もあるのよね。ぶっちゃけそこのところどうなんです?」
レティ「あんた何処の深秘録こいしよ。
   見ての通りよ。実はもうラスボスなんてダース単位で狩れる準備は整ってるんだけど、ある程度ログが進むまで手出しできない状況で
文「ポケモンサンムーンじきに発売するってこのご時世で?」
レティ「仕方ないわ。
   先に攻略だけ進めてもロクな結果にならないなんて事、枚挙に暇がなさすぎるわけだし
文「御尤も。
 んで、今回は何の話なの?」
レティ「アンデッドキングの直後にも少し触れていたサディアスとミア、その連続クエストの終着点である「愛は全ての人に」よ。
   概要は本編で触れたとおり、どうもミアの家庭の事情でこれまで、二人というかミアは自分の父親にサディアスの事を伏せて話を進めていたらしくて、相手がルナリア族と知ったミアの父親が大激怒。そのせいで、二人の結婚が破談寸前という状況で、どうにかしてほしいという依頼ね」
文「それも今の私とかなら、種族差別だと言って糾弾する事もするんでしょうけど…解らない話ではないのよね。
 セリアンは言っちゃえば脳筋種族でしょう? そういう血筋だとルナリアのようなインテリ系は何処か虫が好かないというのも解らなくはないわ」
レティ「この時、酒場に来ていたサディアス、ミア、ミア父に話を聞くわけだけど、兎に角ミア父の言い方が凄いのよね。
   「ルナリアなんて魔法を使ったり死霊を使ったりするから、そんなアヤシイ連中なんか信用できないし婿になんかできない」って」
文「うわあ思った以上に滅茶苦茶な理由だったわ」
レティ「そもそも第二階層ぐらいで酒場にいるブラニーの「セリアンは背の低い自分達を馬鹿にしてる」とか言ってる奴の言葉から類推しても、セリアン族は全体的にデリカシーがないというか、おおらかというか大雑把とかそんな感じだしね。
   ミア父みたいな考え方の持ち主がいるのも、オープニングのナレーションを聞いてるとまあ納得できなくもない感じはするんだけど」
文「種族差別意識のあるイクサビトだと思えば概ね認識として間違いないのかしらね。
 まあ、キバガミなんか特にそうだけど…イクサビトはイクサビトでおおらか過ぎるというか、種族全体で御人好し過ぎるというか」
レティ「イクサビトから翼人を引いた感じじゃないかしらね。
   まあ、それでもどうにかしてミア父に妥協案を聞き出すことには成功するんだけど…」








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数刻して華扇が酒場に戻り、それと入れ違いで店に来たサディアスに…華扇はミアの父親が言った差別的にも思える一言は伏せ、それでもと喰い下がった末の条件を聞き出した。

「…私一人で…私の腕っ節ひとつで、樹海探索に挑んで見せろと。
お父上は、そうおっしゃったのですね…!」


神妙な表情で、華扇に告げられたその「条件」を、復唱する細面の青年。
何処か気品さえ感じられる…華奢なルナリアの青年であるサディアスも、何処か予感はしていただろうその条件は…さして戦闘技術も巧みではないだろう彼にとっては、あまりにも無謀な条件だったと言っていい。

華扇はそれを否定することなく、真剣な眼差しのまま頷く。
幾度か話してみて解ってはいたが、目の前のルナリア族の青年は真摯で、生真面目な性格であることを彼女も知っている。
ミアの父もまた、粗暴な面はあるものの、ものの道理の解らぬ相手ではない…華扇はそれを確信した上で、セリアン族としても見どころはある、とある程度の脚色を加えたうえで喰い下がったが…その「種族」的に嘘を嫌う彼女が、それでも精一杯に彼の美点をアピールしたことは確かに功を奏していた。

「そんな!
サディアスさんは戦闘用の魔法すらもろくに扱えない…その上、その魔法すらを使わず一人でなんて!」
「…いいんです、皆さん。
私も覚悟はしていた。
セリアンは武の一族…ミアと一緒になることを誓った日から、何時か、それは必要になる事も…!


サディアスは、その決意を秘めた目で…携えていた杖を握りしめて立ち上がる。

「私は、これから樹海へ向かいます。
ミアには…よろしく伝えておいてください」
「待ちなさいよ。
ろくに武術も扱えないあなた一人で樹海に挑むなんて、ただ死にに行くのよりなお悪いわ

その行く手に、険しい表情の紗苗が立ちはだかる。

「代わりの条件を提示してあげる。
…華扇さん、悪いんだけど…もう一度ミアのとこ行って、彼女とそのバカ親父も一緒に連れて来てもらえるかしら」
「…サナ、あなた何をするつもり?」

紫の問いかけに、サディアスから視線を離すことなく、紗苗はサディアスへと告げる。


「この私から、剣術で一本取って見せなさい。
それが出来たなら、この私がどんな強硬な手段をとってでも、あなた達の結婚を成立させてあげる。
…何度でも、受けて立つわ…あなたが、ミアとの結婚を諦めるまで、何度でも!」









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レティ「実際は樹海に飛び込んでいったサディアスが、何故か1Fまで出張して来ていた梟獣にボコられてて、それを救出すると何故かタイミングよく現れた衛兵部隊にサディアスが回収されていくというオチなんだけどね。
   ミア父も自分の発言をサディアスが真に受けるとは思ってもいなかったらしくて、慌てて救助依頼を出してなおかつ彼の心意気を認めたのか、「自分が直々に婿に相応しい男になるように鍛えてやる」という事で手を打った…という事で決着がついたというお話になるんだけど」
文「解りやすいツンデレ親父ねえ。
 けど、愛する人のために一身を擲てるのは、古風とはいえ好感のもてるところね。
 ミアの言葉まで総合して類推するに、サディアスはかなりクソ真面目というか」
レティ「イケメンで真面目な人格者とか、非リア充がこぞって爆発しろコールしそうな案件だと思うんだけどねえ。
   メルランが暴走しかけたあの町はずれの連中に比べれば幾分かマシかもだけど」
文「その件は忘れといていいんじゃないかしら、どうでもいいことだし」
レティ「今回はまあ、こんなところよ。こっちはサナがからんでるし、まあ…そういう結末にしかならないんでしょうね」
文「なんともはやね。で、次回は」
レティ「何よあんた居座る気?
   …静葉もそんな調子だし、じきに戻ってきやがるとも思えないけど…まあ、いいわ。
   次回はこいし回の予定よ。以前少し触れていた、とあるクエストメイン回ね」
文「経験則的にあの無意識が絡んでるときって大体ロクなことにはなってないのよね。
 あいつがなんかやらかすことがすべからくトラブルに直結するんだし、いずれまたあいつがらみででかい異変でも起きるんじゃないかしらね」
レティ「…原作的には一応、心綺楼がそうだといえなくもないところが何ともね。
   それでは、解説はここまでよ。元々そんな解説することないんだけどねこの話」








あれからどれくらい時間が経っただろうか。

全身青アザだらけになり、その端正な容貌は見る影もなく土に塗れ…それでもサディアスは、よろめく足を叱咤して立ち上がり、杖を不格好な青眼に構えてみせる。
何時の間にか黄昏亭の前の通りの広場には何事かと集まってきた野次馬でごった返していたが、その誰もがサディアスと対峙する彼女が放つ、鬼気にも似た威圧感に気圧されて遠巻きに眺めるのみで、誰も割って入る気配もない。



「これだけやっても、女の私相手にまだ剣を合わせることすらできてないじゃない。
あなたの気持ちは、その程度でしかなかったというの!?」

紗苗は手に持った短い箒の先を、憤然と突きつける。
ほんのつい先まで浴びるように酒を飲んでいた彼女とは別人のようで、まるでそれは、闘志をむき出しにする狼の王が如き鋭い眼光を放っていた。

ルナリアの青年は、それでも慟哭にも似た雄叫びをあげて、覚束ない足のまま彼女へと立ち向かい…そして、同じように肩口に一撃、そして、流れるように繰り出された足元への一撃を受けて転倒する。

もう幾度となく、繰り返されていた光景に、連れて来られたミアの父は、最初の方こそ「やはりルナリアごときに」などと悪態を吐いていたが、いつしか、難しい表情で腕を組みながらじっとその光景を眺めていた。
懇願するように腕を揺する娘に一言も返すことなく…ただじっと、打ちのめされてもなお立ち上がるサディアスの姿を。


武に生きる一族として、彼にも紗苗がどれだけ途轍もない武を有しているかも解っていた。
正確に言えば…その彼をしても、到底想像もつかないほどの凄まじい武を、紗苗が持っているだろう事を。
彼がそう決めつけていた通り、あのルナリアの青年は決して腕っ節に自信があるわけではないだろう…決して、目の前の女性に敵うわけがない事も、恐らくは。

それでも、彼は何度も何度も立ち上がり、満身創痍になりながらも…それでもなお、己の手に握られた一本の杖を頼みに、立ち向かっていく。
そんなルナリア族の者を見たのは、彼とて初めてではないはずだった。

認めたくなかったのだ。
ルナリア族にも、自分たちと同じく熱い心意気を持つ、目の前の青年のような者がいる事を。
彼が口先だけではなく、心の底から、自分の娘を愛してくれている事を。



リグルはぼろぼろに傷ついていくサディアスの姿に、あの日、なんの抵抗もなくいわれなき暴力の拳を受け続けた親友の姿が重なった。
彼女が剣に手をかけ、躍り出ようとたその瞬間、傍らにいた華扇がそれをそっと手で制し、頭を振る。

何故。
そう口にしようと思った瞬間、華扇は溜息を吐き、その右手の包帯を解く…次の瞬間。

「…っ!!??」

声にならない絶叫と共に向かってくるサディアスへの反撃に出ようとした瞬間、紗苗は何者かに右の足首を掴まれ、思いきり軸足をずらされる。
間髪いれず、左肩を思いっきり背から突き飛ばされ、にわかに体勢が崩れたところでサディアスの振り上げた杖の先が迫る。

「ちぃッ!!」

だが彼女は、自分の体勢を崩されたところで無理に踏みとどまろうとせず、そのまま弧を描くような大振りの一撃をサディアスの鳩尾めがけて振り抜いた。
その身体は木の葉の如く宙を舞い、強かに背から地面にたたきつけられ、野次馬達からもどよめきが上がる。

紗苗はその下手人へ一瞬、刺すような視線を向けるが…憤然と向き直ると、ピクリとも動かぬサディアスの元へ歩み寄ろうとする。
その前に、手を広げ立ちはだかる壮年のセリアン。

「もう、結構だ。
それに、勝負はついただろう」


ミアの父親だ。
彼は、鬼気迫るような紗苗の視線に怯むことなく、その事実を淡々と告げる。

「彼の剣は、あんたに届いている。
かすり傷だが、一本には変わりない。
あんたは言ったはずだ、この青年が自分から一本取ったら、どんな手段を使ってでもこの青年と私の娘の婚儀を取り持つと」

ミアの父が指し示す紗苗の左肩…そこは、微かに土埃が付着し、かすれたようにして服の一部が毛羽だっている。
野次馬の中にもいるだろう、視力の良いセリアンやルナリアの者達から、感嘆のどよめきが上がる。

「…認められないわ。
今のは、邪魔した奴がいるのよ」
「そこも含めて、彼はそれだけ、信用に値する者だという事なのだろう。
これ以上彼を傷つけるというなら…「未来の婿殿」を護るため、及ばずながら私が相手になろう…!!
「…お父さん!?」

思っても見ない一言に、逡巡していたミアは目を丸くする。

紗苗はしばらく険しい表情で対峙していたが、やがて気が殺がれたのか、溜息を吐いて踵を返す。
どよめく野次馬達の視線の中、ミアの父は、倒れ気を失っている心優しき異種族の青年の身体を抱き上げて溜息を吐く。

「なんと華奢な男よ。
…ミア、こ奴が目を覚ましたら言っておけ…傷が癒えたら、私が直々に鍛えてやると。
お前の伴侶として認めてやるかどうかは、それからだ
…とな」
「お父さんっ…!!」

野次馬の中に居たのだろう、彼女の友人と思しき数人のセリアンがたまらず飛び出して来て、彼女達を取り囲みながら口ぐちに祝福の言葉を告げる。
しばらくその光景を眺めていた紗苗の方へ、ミアは深々と頭を下げ、立ち去っていくのを見届け…紗苗もようやく、溜息を吐いて微笑んだ。





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それからさらに時間が経ち、紗苗は人も疎らになった黄昏亭のカウンターで、なおもゆっくり盃を傾けている。
メリーナもそれ以上は詮索せず、時々その盃へ酒を継足してやるその隣に、珍しい事にその緑髪の少女が腰かけた。



「…サナさん。
どうして、あそこまで」

神妙な顔つきでリグルがそう切り出すと、紗苗は寂しそうに微笑んで盃を干す。
その質問の意味は、彼女にも解っていた。

「…私も人間として生きていた頃に結婚もして、子供もいたわ。
決してお互いに望んだ結婚ではなかった。
藤野の血筋を護るためだけに、宛がわれた相手で…それでも、私は彼のことを理解しようと努力して、人並みに幸せな夫婦関係を保てるまでにはなったのよ。
…けど、彼とのわだかまりだけは最後まで消えることはなかった。彼は能力が優れていたばかりに、本当に愛していた人から引き離されてしまったのだもの。
どんなに強くなっても、どれだけ努力をしても、決して手に入らないものだってあったのよ

彼女はメリーナから代わりの一杯を渡され、それに口をつけるとさらに続ける。

「だから…ミアよりもサディアスの方が、放ってはおけなかった。
ミアにも勿論だけど、二人には幸せになって欲しい。血筋だの種族だの、そんなくだらない理由で幸せが踏みにじられるなんて…私にはどうしても、許せなかったのよ
「その為に本気でサディアスと立ち会うだなんて…見ていて私も気が気じゃなかったわよ。
結果的にうまくまとまったとはいえ、彼を殺してしまうようだったら私が止めに入ろうと思ったぐらいには、ね」

溜息を吐くメリーナに、紗苗も苦笑する。

「…私も、かごめちゃんのことを笑えないわ。
あの子も不器用だけど、私だってずっとずっと、あの子とどう接していいのか解らなかったのだもの。
私一人っ子で、それにちっさい時に目の前で両親を殺されて…あの子がうちに来た時、「妹」が出来て、この子だけは絶対守ってあげなきゃって思ったのに、どうしていいのか全く解んなくて。
あの子は優しい子だから、私がいてくれたから最後まで踏ん張れた、って言ってくれたけど」

リグルはこの樹海に入って、幾度も振り回されながらも見てきた中で、初めて見る紗苗の姿であった。
だが…その姿は、何処か自分の敬愛する彼女と似ていると思った。

リグルは、メリーナが持っていたボトルを受けとり、その盃に中身を注ぎ入れて笑う。

「かごめさんが言ってるなら、きっと、そうですよ。
チルノが言ってたんです。
かごめさんは…絶対に、嘘や取り繕うようなことは言わないって
「…りぐるん?」
私も…もう少しだけ、あなたにくっついていこうと思います。
チルノやルーミアが、かごめさんについていったように。
みすちーが…穣子さんやレミリアさんの背を追いかけて行ったように。
…大分ハードなのは、解っているつもりだから」

紗苗はきょとんとした表情で、微笑むリグルを見やり…そして、思い切りその身体を抱き寄せる。


黄昏亭の戸口のところでは、かごめがその光景を見やり、溜息を吐く。
そして、立ち去ろうとしたその先には、華扇、小町、そしてマミゾウ…今日を最後に、アイオリスの街を去ろうという面々。

「名残惜しい気もするが、妖精国の方も荒れておるようではあるし、しばらくはわしらの方でなんとかしておくわい。
サナ一人居なくなってガタガタ言い始めてしまうようでは、まだまだ不安じゃからの」
「悪い、みんな。
あたしが行くことも考えては見たんだけどな」
「ええわい、わしも十分暴れさせてもらったしの。
…むしろ小町、お主はいいのか?」
「んあー…まあ、四季様があまり長い事留守ってのもあまり経験なかったからさ。
有給の残り分はまたいずれ機会があった時のためにとっとく事にするさ」
「いつもサボってばかりで今更という気もしますけどね」

華扇の指摘に苦笑を隠せない小町。
そして、三人は踵を返す。

「あたい達の代わりは呼んであるんだろう、どうせ?
っても、もう多分そんなやる事もない気はしてるんだけどね」
「まあね。連中もそろそろうちに集まってると思うし、一声かけてってくれると有難い」

三人は頷き、召喚されたスキマの中へと吸い込まれていく。


一人残されたかごめは、煌々と輝く月を…世界樹の頂の果てを、いつまでも眺め続けていた。

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